007/ノー・タイム・トゥ・ダイをみて

こんにちは、NickAruです。

今回は、007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

を見ての感想を述べていきたいと思います。

一応ネタバレ注意です。

 

イギリスの諜報組織MI6に所属する凄腕スパイ、ジェームズボンドの活躍を描く映画シリーズの第25作目。

6代目ボンドたる、ダニエルクレイグ主演の映画としては、カジノロワイヤル、慰めの報酬スカイフォール、スペクターに続く5作目です。

さて、肝心の今作、ダニエルクレイグのシリーズの常ではありますが、それまでの作品をちゃんと順番通りに見てこないとなんのこっちゃわからんとなります。

今作の感想をまとめて言うと、作中のCIAエージェント、アッシュがたびたび口にする、I'm a big fan of himを引用し、ダニエルクレイグシリーズが大好きな人が作った6代目が死ぬうえで過去作の伏線とか全部回収しつつその死に妥当性を与えるために大量の要素を詰め込んだら薄味になった作品。普通に面白いが、6代目ボンド的なずっしり来る感じはなかったかなあと。

序盤から、レア・セドゥ演じるマドレーヌスワンとの隠居生活です。ぶっちゃけ、スペクターの最後のほう流し見だったというか、途中でスワン先生がボンドと別れるシーンこそ覚えていましたが、その後の展開はほとんど記憶から欠落しており、あら、仲直りしたのねという気分。

そっからよくわからんリゾートで、エヴァグリーンのお墓が出てきて、お!、そういえばカジノロワイヤルのヒロインだったな、などといろいろ思い返せてきたり。

その後は一気に5年すっ飛ばすし。その間も前作でなんらかの決着をみせたスペクターは元気に世界中で暗躍してるし。南米でちょっと出てくるCIA見習いのスパイはすごいかわいいけどそこでしか出ないし。ぶっちゃけフェリックスとか私一応今までの全部みてるけど見たのが前すぎて初見状態でした。

ボンドの次の007のノーミは最初はライバル意識強そうな感じなのにすぐにボンド認めちゃうし。

マネーペニーはなんかまじでただの秘書になっちゃってるし。

スペクターの悪役たるブロフェルドはぶっちゃけマドレーヌスワンを今作に呼び込むための舞台装置以上の意味は持ってないし。というかスペクターもノリで壊滅するし。世界最大規模の悪役組織この程度かよというか。

今作の悪役の能面レミマレックは私映画観終わった後にそういやあのキャラ名前なんなんだって思いました。ちなみに調べて、サフィンというそうで、いわれてみれば劇中でちゃんとメンションされてますね。ただ、想像よりはるかにチョイ役というか。。。

というか、中盤まで普通にスペクターよりサフィンの組織のがやばいという雰囲気はしないんですよね。スペクターの下部組織クラスしかなさそう。どうやって今まで勢力保ってきたんだ。サフィンのオトンがミスターホワイトに殺されて、マドレーヌを殺そうとして救ったみたいなの。一応物語のキーなんだろうけど、キャラクターのあれが薄味すぎて最終的にで?ってなってしまいました。ていうかなんで能面?千島列島だから?

 

『007』始末記②『007』「作品」ベスト10 | やりすぎ限界映画入門 (ameblo.jp)

上記のブログにて、007という作品は、バカ映画と、シリアス映画を言ったりきたりしている、とされています。

私が思うに、ダニエルクレイグが演じてきたこれまでの007は割とシリアス路線だったのだ。スカイフォールまでのガチっぷりは今までを見てきた諸兄にはわかると思います。スカイフォールでの中盤のボンドガールの死に代表される悪役の狂気ぐあいは真に迫るものがあったし、議会の襲撃なんかは世相を反映していたように思います。

だが、前作スペクターで何らかの巨大な方針転換が行われたのでしょう。思えば、スペクターにはギャグ映画であるというのを確信させるいくつかのシーンがありました。中盤の銃撃戦直後のイチャイチャシーンとか。Mともにシリアス路線は死んだのです。

それにしても今回の007はしっちゃかめっちゃかでした。調べてみれば、途中で監督の交代があったようで、なるほどな、と。撮影の最後の1年に入ってきた新監督がどれほどの影響力をもたらせるのかはなぞですが、序盤から二人の監督がいたのにそこが創造性の違いで離脱するほど荒れていたのだったとしたら、すでにぼこぼこになっている映画製作現場に、最後どうにかまとめておくれと一縷の望みとごたごたを押し付けられた監督の胃の痛さは想像を絶するものであったでしょう。一応エンタメとしては全然成立してる作品に仕上げて見せたのだから、すごい監督なのは間違いないです。

とにかくツッコミどころを上げだすとキリがありません。HMSドラゴンはまじでミサイル駆逐艦程度が単独でそんな海域にいてなにをしてたんでしょうね。この間日本に派遣されたクイーンエリザベス艦隊(CSG 21)から独立遊弋でもしてたのでしょうか。一応あの艦隊もDクラス2隻いるし、、。

というか、日本とロシアの係争地域とはいうけど、実権はほぼロシアにあって、どうみても旧ソ連時代のミサイルサイロなわけで、どうあがいてもサフィンの組織のバックグラウンドにはロシアがいるわけで、そんな領域に攻撃なんざしたイギリスが一体その後どうやって言い逃れしたのかとか。Mの決断力を示すシーンなんだろうけど、もうちょっとうまくやれよって。あれじゃただのタカ派の将軍だよ。

最後の青い目のくだりに関しては、友人が最初にダニエルクレイグボンドが青い目だ、と批判されたことに対するアンチテーゼであるという意見を言っていて、なるほどなとは思いましたが。

あ、でも最後のシーン英語で語り掛けるのは個人的にNGでした。そこはフランス語でいいでしょと。子供に通じないでしょ。その程度のリアリズムの整合性も微妙な感じ。

リアル志向からはじまり、批判をうけつつも一定の評価を得たのちにシリーズのお約束を取り戻した結果内部がゴチャゴチャになった、そんな25作目でした。いままでの作品全部見返してからもっかいみたら、ごちゃごちゃである以外の感想をもてたのでしょうか。。。?ともあれ、売り上げは好調な様子なので、次のボンド作品がどうなるか、気長に待つことにします。